はじめに
20年前に始まった「総報酬制」では、賞与にも社会保険料がかかることがあるのですが、社会保険料の節約を目的として、賞与として支給される金銭を届け出ないという問題が一部で発生しています。そこで、最近厚生労働省からの事務連絡が改正されたことにより、今後は賞与に対して厳しいチェックが入るかもしれません。これにより、社会保険に関連する賞与の取り扱い基準について説明いたします。
賞与の原則的な定義
「被保険者賞与支払届」に該当するのは、賃金や給料、俸給、手当、賞与など、労働者が労働の対償として受けるもので、年に3回以下支給されるものです。一方、年に4回以上支給されるものは標準報酬月額の対象となります。また、臨時的な手当(例えば結婚祝金など)は報酬の対象から外されます。
支給回数 | 判定 |
年間2~3回支給 | 賞与に当たる |
年間4回以上支給 | 年間支給額÷12を毎月の報酬に計上する(賞与に係る報酬) |
臨時の恩恵支給 | 賞与に当たらない |
「同一性質」の考え方
賞与の対象となるかどうかは、「諸手当等の名称の如何に関わらず、諸規程又は賃金台帳等から、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するもの」とされています。
表の左上に示されたように、業績に応じて支給される手当には、毎月定額で支給される手当(手当A1)と、半年ごとに支給される手当(手当A2)の2つがあります。これらは給与規程上は「手当A」として規定されています。
「手当A1」と「手当A2」は客観的に性質が異なると区分できるものとされ、それぞれ「通常の報酬」と「賞与」として考慮されます。つまり、この場合、「手当A1」は賞与には該当せず、通常の報酬として支給されるものと判断されます。一方、「手当A2」は賞与の性格を持ち、賞与として計上されることになります。
基本給 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 |
手当A1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
手当A2 | 0 | 15 | 0 | 0 | 0 |
※手当A1とA2は、どちらも業績に連動した「手当A」の一部ですが、A1は毎月一定額で支給される性質から「通常報酬」と見なされ、一方で手当A2は半年ごとに計算されるため「賞与」として扱われます。
「同一性質」を判別できない場合
逆に、給与規程や賃金台帳から同一性質であるか否かを客観的に判断できない場合には、「手当A」が一か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金などが分割して支給されるものとして、「毎月の報酬(賞与に関する報酬)」として取り扱われます。この場合、算定基礎届の際には分割して算入されます。
基本給 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 |
手当A | 1 | 16 | 1 | 1 | 1 |
※手当Aは業績に応じて変動しますが、計算期間が明確に判別できないため、年間平均の額を月ごとの報酬に組み入れます。
その他注意点
賞与に関する規定が新たに設けられる場合、一年を通じて四回以上支給されることが客観的に規定されていても、次の標準報酬月額の定時決定(7月、8月、または9月の随時改定を含む)が行われるまでの期間は「賞与に係る報酬」として扱わず、「賞与」として取り扱われることとされました。
また、「結婚祝金」のように明らかに業績に連動しない手当は臨時支給とされますが、「大入手当」のように臨時的ながらも「労働の対償」となるものは、支給ルールが明確であれば報酬に該当しますので、注意が必要です。