情報発信

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2023.06.26   情報発信

インボイス制度の開始前 までに押さえておくこと

はじめに

2023年4月1日以降、中小企業における月間の60時間を超える残業に対する割増率は、現行の25%から50%に引き上げられることとなります。

この引き上げにより、以前から未払いの残業代に対する対策として広まり、多くの企業で採用されている「固定残業制度」も一部の場合について見直す必要が生じています。

以下、割増率引き上げに伴い固定残業制度をどのように改善していくべきかについてご説明いたします。

 

対象となる中小企業

今回の引き上げの対象となる中小企業は、以下の表に示されております。ご参照ください。また、表に該当しない企業につきましては、既に割増率を50%以上に引き上げておく必要がございます。なお、この判定は本社・支社などの「事業所単位」ではなく、「企業単位」で行われますので、ご留意ください。

業種 資本金の額または出資の総額 常時使用する労働者数
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
上記以外の業種 3億円以下 300人以下

今回見直しが必要な固定残業制度

今回の割増率引き上げに伴い、見直しが必要な固定残業制度は、「見込み残業時間数が60時間を超える場合に適用される制度」でございます。ご参考までに、以下の例をご覧ください。60時間を超える部分につきましては、割増率50%として再計算を行う必要がございます。

例:基本給22万円、月間80時間の残業を見込んでいる固定残業制度の場合
※残業単価計算に用いる所定労働時間は173

 

◆従来のルールにおける固定残業制度

基本給 残業単価※(割増率) 見込み残業時間 固定残業手当
220,000 1,590(25%) 80 127,200

よって、80時間分の固定残業代は127,200

◆2023年4月以降のルールにおける固定残業制度

基本給 残業単価※(割増率) 見込み残業時間 固定残業時間
220,00 1,590(25%) 60 95,400
1,908(50%) 20 38,160
合計 133,560

よって、80時間分の固定残業代は、133,560

または固定残業手当額を変更しない場合、その分残業見込み時間を短く設定する必要があります。

 

見込み残業時間の妥当性

前述の計算上では、制度の見直しによる割増賃金の支払い増価額はそれほど多くないように思われますが、今回の引き上げにおいてはむしろ「月60時間を超える残業が倍増した割増率」という問題が注目されるべきでございます。

実際に、法律で定められている時間外労働の上限(通常は月間45時間、年間360時間)を超えるような固定残業制度は、労働基準監督署の調査や裁判において問題視されることが増えてまいりました。つまり、「法律上の上限を超えることを前提としている制度自体が違法である」という見方がされることもございます。

固定残業制度において見込まれる残業時間が長い場合、今回の割増率引き上げを機に、月間で30時間程度(年間法定上限360時間を12ヶ月で割った数値)に改めることが望ましいとされております。

 

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