はじめに
2023年1月、大手回転寿司チェーンのスシローなどで、備え付けの醤油を舐めたり、回転寿司にいたずらをするといった、お客様の不適切な行動が話題となりました。これらの迷惑な行為は、主に中高生など若い人たちによって行われた悪ふざけの一環ですが、SNSを通じて広まり、その結果、一時的に運営会社の株価が大幅に下落する事態となりました。この問題は、将来的には損害賠償請求訴訟に発展する可能性があります。
また、近年では、お客様からの要求に対して従業員が土下座するなど、過剰な迷惑行為「カスタマーハラスメント」も問題視されています。このようなお客様の迷惑行為に対して、会社は労務管理上どのような対策を取ることができるのか、考えてみたいと思います。
迷惑行為の種類
お客様が引き起こす迷惑行為には、商品を汚したり壊したり、盗んだりといった直接的な危害を与えるパターンや、従業員に対するカスタマーハラスメント行為のパターン、さらには盗撮や盗聴などの行為も含まれることがあります。
迷惑行為の種類 | 例 |
商品への危害 | 商品を汚す、壊す、万引きする、弄ぶなど |
従業員へのハラスメント | 苦情の長電話をする、謝罪を強要する、暴言、脅迫、セクハラなど |
情報漏洩、 風評被害など |
無断で店内を撮影してSNS拡散、悪評・誹謗中傷を比較サイトやSNSに書き込むなど |
対策方法①物理的な予防策
予め予想できる迷惑行為をリストアップし、それらを防ぐための具体的な物理的対策を講じましょう。例えば、先述のスシローでは、以下のような対応策を発表しました。
① 注文された商品のみをレーンに流すようにする。
② 卓上の醤油などは取り換え可能とする。
③ レーンと座席をクリアボードで仕切る。
また、他の物理的な対策の例としては、以下のようなものが考えられます。
万引きや毀損 | 売り場には商品見本のみを配置し、商品自体はストックルームに保管するなどの対策を取る。 |
従業員への迷惑行為 | 注文はタブレット端末え受け付ける、電話を自動応答に切り替える、IDの提示がない場合、入店をお断りする。 |
情報漏洩、風評被害など | インターネット情報を定期的にモデリングし、不適切な書き込みなどがないかを常時確認するなどの対策を取る。 |
対策方法②カスタマーハラスメント対策のマニュアル化
迷惑行為に遭遇した際の対応策をマニュアル化し、従業員に周知することも有効な対策の一つと言えます。マニュアルは以下の例のように、できるだけ具体的なセリフや注意事項の例示によって、実効性を高めるために定期的なロールプレイなどを行うことが望ましいかもしれません。
【苦情の対応をする際の注意点の例】
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【例えば、「上司を出せ!」という苦情の対応について】
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