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2019年11月
トヨタ社員がパワハラ自殺、パワハラ防止義務化への対策は?
2019.11.25
おはようございます。久保社会保険労務士法人 久保です。
11月も今週で終わりとなり、忘年会や年末行事の時期となりましたが、お元気でお過ごしと思います。
さて、先週、「何がパワハラにあたるのか」などを例示したガイドライン案が了承されました。
来年6月からは、「パワーハラスメントを企業に義務付ける法律」が施行されます。パワハラについては、会社だけでなく、役職者のひとり一人が相当な認識を持つ社会になっているはずですがトヨタ自動車の男性社員(当時28)のパワハラによる自殺が、労災認定されました。この事案はあまりに残酷で、記事を読むだけの私たちでも、信じがたく、取り返しのつかない無念さを感じます。
以下、朝日新聞のネットニュースから抜粋しお伝えさせていただきます。
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遺族側代理人の弁護士によると、
男性は東京大大学院を修了して、15年4月に入社。1年間の研修期間を経て、16年3月に同市の本社に配属された。上司から翌月以降、繰り返し「バカ、アホ」「こんな説明ができないなら死んだ方がいい」などと言われたほか、個室に呼び出されて「録音してないだろうな。携帯電話を出せ」などと詰め寄られたこともあったという。
男性は16年6月ごろ精神疾患を発症し、同7月から3カ月間休職。復帰後は別のグループの所属になったものの、同じフロアにこの上司の席があったという。男性は翌年7月、「死んで楽になりたい」「もう精神あかんわ」などと周囲に漏らすようになり、同10月、社員寮の自室で自殺した。
遺族は立野弁護士を通じ「息子はたくさんの希望をもってトヨタに入社した。それが上司からの苛烈(かれつ)な暴言で歯車が狂い、帰らぬ人になりました」「会社のパワハラを放置するような対応がさらに息子を苦しめたのではないか。
■トヨタの調査や男性の手帳などから判明したパワハラ行為
・日常的に「バカ、アホ」と言われる
・「なめてんのか、やる気ないの」「こんな説明ができないなら死んだ方がいい」などと叱責(しっせき)される
・東京大大学院を修了した男性に対し「学歴ロンダリングだからこんなこともわからないんや」と言われる
・個室に呼び出されて「俺の発言を録音していないだろうな。携帯電話を出せ」などと詰め寄られる
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今の社会の中で、こんな信じがたい事案が発生したら、パワハラは許さないとしかいいようがないです。ガイドラインでは、身体的、精神的な攻撃、過大な要求など6つの類型をあげ、どのような行動がパワハラにあたるか、
一方、
◇業務の内容や性質等に照らして、重大な問題行動を行った労働者に対し一定程度強く注意すること、や
◇繁忙期に、通常時よりも一定程度の多い業務の処理を任せることはパワハラにあたらないとしました。
とはいえ、なんでもかんでも、『パワハラ~』と言われかねない状況です。社会の働くことへの認識が、どんどん変わっています。
残念ながら、経営者や管理職者の目線ではなく、圧倒的に労働者よりなように感じます。
たとえば、たびたび遅刻をしてくる社員さんがいたとしたら昔なら「何、考えてるんだ~!」「たるんでるぞ~!」などと言われたかもしれませんがこれからは、「どうしたの~?」「困っちゃうよ~」「ガンバって早起きしようね~」なーんてニコニコとやさしくお話しするよう心がけなければならないと思います。
そんなことで、会社が経営できるか!!と思ってはいけないのです。では、経営者としてできることは何か?
◆◇パワハラといわれないルール作りをすること◇◆です。
給与や賞与は、社員さんのがんばりに応じた給与にすること。「がんばってます!」といわれても、「頑張るのは当たり前!」と言いたくなります。その社員さんのがんばってくれた積み重ねが、成果になり、スキルアップになり、信頼になっているか?がんばっている方には、しっかり冬のボーナスをお支払いし、昇給もしてあげればいいです。
でも、そうでない方には、ちゃんとマイナス評価をし、ボーナスを下げるとか、降給することをきちんとルール化し、社員さんにも説明し、理解をしておいてもらうことです。
ボーナスや給与の支給についての基準を、評価とむすびつけておくことです。給与規定や評価基準の見直しをしましょう。
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さて、見直せば見直すほど、課題が湧きあがってくる同一労働同一賃金について
今日は「定年退職後の再雇用者の給与」について、お伝えしたいと思います。
【「正社員」と「定年後再雇用された嘱託社員(有期雇用)」の待遇の格差の合理性について】
まず2018年6月に判決が出た最高裁の裁判「長澤運輸事件」があります。これは、定年後再雇用の有期契約労働者が、基本給や賞与が下がったことを不当と争われた事案ですが「定年後再雇用において基本給や賞与で差が出るのは仕方ない部分もある」という最高裁判決が出ました。
【格差が「不合理」とされたもの】・・・・労務の対価としての性格が強いもの
1.精勤手当
2.超勤手当
【格差が「不合理ではない」とされたもの】・・・生活費の補填的な意味合いが強いもの
1.能率給及び職務給(老齢厚生年金の支給を受けることが予定されているため)
2.役付手当(正社員の中から指定された役付者であることに対して支給されるものであるため)
3.住宅手当、家族手当
(従業員に対する福利厚生及び生活保障の趣旨であるため老齢厚生年金受給があれば不合理ではない)
4.賞与(退職金の支給を受けていること、老齢厚生年金の支給を受けることが予定されているため)
【2020年4月、法改正で同一賃金同一労働はどうなる?】
さらに、ポイントとなるのが2020年4月に法改正があることです。パートタイム・有期雇用労働法が施行され、正社員と比べて弱い立場の人を保護する法案が施行されます。
「正社員だから優遇される」という考え方を失くしていかなければなりません。これを機に、新しい時代の働き方や人事制度を取り入れるチャンスが来ていると思います。
この他にも、多くの検討課題があるのが、同一労働同一賃金にかかわる「パートタイム・有期雇用労働法」と「労働者派遣法」の改正です。
来年2020年4月1日から、同一労働同一賃金の考え方、つまり同じ労働に従事する労働者にはその雇用形態にかかわらず同じ賃金を支給することが原則となります。
検討しなければならない課題や、今までの概念を切り替えないといけない課題がたくさんあり、「職務内容」や「配置の変更範囲」が同一である場合には、均等待遇を確保することが義務化されます。
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弊社の営業時間を、午前9時~午後4時45分に変更させていただきました。
ご迷惑をおかけすることもあると思いますが、ご理解ご協力いただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
賞与と同一労働同一賃金の見直し
2019.11.05
おはようございます。久保社会保険労務士法人 久保です。
11月に入り、今年もあと2カ月をきりましたが、お元気でお過ごしと思います。
先日、私の手元にテレビコマーシャル等で有名な弁護士事務所から書面の通知連絡がありました。
退職した弊社の社員が、未払い残業の支払いを求めているというのです。
「はぁ~?」「なんでやねん!」「いつ、何のために残業し、かつそれが未払いやねん!」と弁護士事務所から、さも、「未払い残業を支払うべし」みたいな書面が一方的に送りつけられてきました。
弊社は、残業をする場合は、必ず、事前申請をすることになっています。
経営者としては1.25の残業割増を支払ってでも、業務をこなしてほしい社員に対してのみ、残業を認めるものであり、残業をしてもらっても、その単価にみあう業務をこなす能力がない社員に残業は許可はせず、お帰りいただきます。
残業申請に対しては、当然、残業代をしはらっていますので、未払い残業代などあろうはずもないことです。
それでも、このかの有名な法律事務所がそうであるかどうかは、存じませんがいまどきは、「未払い残業代の試算をしてみよう~!」みたいなネットが多々あるそうです。
そして、労働者が自分の思うように、ネットで空欄をチャッチャと埋めるとジャジャ~んと『未払い残業代○○万円!!』となるそうです。
そして、私の手元にとどいたようなテンプレートのような書面がサクサクとできあがり、「この文書を受け取ってから1週間以内に・・・」みたいなお手紙が出来上がるそうです。
人間不信というか、社員に不信を抱かせるバカバカしい話ですが、それでも、今、目の前でがんばってくれている社員に気遣い、気持ちよく仕事してもらう環境を作るしかありません。
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さて、見直しが必要な箇所がてんこ盛りの同一労働同一賃金について今日は「賞与」について、見直すべき点をお伝えしたいと思います。
以下、同一労働同一賃金のガイドラインより抜粋
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賞与であって、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについて、通常の労働者と同一の貢献である短時間・有期雇用労働者には、貢献に応じた部分につき、通常の労働者と同一の賞与を支給しなければならない。また、貢献に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた賞与を支給しなければならない。
【問題となる例】
<イ>
賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じ支給しているA社において、通常の労働者であるXと同一の会社の業績等への貢献がある有期労働者であるYに対しXと同一の賞与を支給していない
<ロ>
賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社において、通常の労働者には職務の内容や会社の業績等への貢献等にかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているが、短時間・有期雇用労働者には支給していない
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上記は、問題ありということで、改善の検討が必要という例です。
今までは、頭っから、パートさんや契約社員には賞与は対象外としていたのであれば、そこは見直しが必要であり、パート、契約社員の方に対しても社員と同様に、責任のある仕事をしてもらおうとしているのであれば賞与も支給対象者としなければならない時代になりそうです。
この他にも、多くの検討課題があるのが、同一労働同一賃金にかかわる「パートタイム・有期雇用労働法」と「労働者派遣法」の改正です。
来年2020年4月1日から、同一労働同一賃金の考え方…つまり、同じ労働に従事する労働者にはその雇用形態にかかわらず同じ賃金を支給することが原則となります。ただし、中小企業における適用は、1年後の令和3年、2021年4月1日からです。でも、検討しなければならない課題や、今までの概念を切り替えないといけない課題がたくさんあり、「職務内容」や「配置の変更範囲」が同一である場合には、均等待遇を確保することが義務化されますので順に、このメルマガでご紹介してまいります。
ご相談は、いつでも、弊社までご連絡ください。
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久保社会保険労務士法人は、職場意識改善助成金の計画に沿った、残業時間短縮と有休取得を実施しています。
人事労務の問題解決Q&A誌「労務事情」(2012年11月1日号)に、所長 久保太郎の記事が掲載されました。
SR 第31号に、副所長 久保貴美の記事が掲載されました。