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2012年4月
採用内定取消の判例 大日本印刷事件
2012.04.29
判例 大日本印刷事件 最高裁昭和54.07.20
判決は、採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、
また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内
定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認め
られ社会通念上相当として是認することができるものに限られるとして、解
雇権濫用法理と同様の論理を展開している。
このように、内定通知を出し、応募者から承諾書が来たら通知書に記載し
てある特段の事情のない限り覆せないと考えるのがトラブルを防止すること
に繋がります。
特段の事情とは、卒業できないとき、提出した書類に重大な偽りがあるこ
とが判明したとき、勤務に差し支えのある疾病のあることが判明したときな
どです。
この事例では、業績の悪化が予想されるとのことですが、その程度では社
会通念上相当とはいえず、従業員を解雇しなければならないほどの経営状況
に陥っている場合などが相当といえるでしょう。
万が一、内定を取消す場合は、本人への通知、説明を行わねばならないこ
とはもちろんですが、職業安定法によりハローワークや学校への通知が義務
付けられています。(新規学卒者が対象)
採用内定を会社都合で取消
2012.04.27
来年卒業予定の学生を採用内定していますが、業績の悪化が予想されるため内定を取消したいと考えています。取消するに何か問題はあるでしょうか。
A 原則として内定取消はできません。
ここではまず判例から見てみましょう。
判例 大日本印刷事件 最高裁昭和54.07.20
[概要]
① 会社は、筆記試験や面接試験の後、文書により採用内定通知を出した
② 本人から、卒業後は間違いなく入社するとの誓約書が提出された承諾書には、卒業できなかった場合、履歴書等の記載に事実と相違する点が判明した場合などには内定を取り消されることが記載されている。
③ 本人は他社への応募を辞退し、就職活動を停止した。
④ 2月12日になって突如内定を取り消された。
[判決]
① 募集に対し、応募したのは労働契約の申し込みである。
② 会社の行った内定通知はこの申し込みに対する承諾である。
③ 本人からの承諾書の提出は、就労の始期は卒業後だが、労働契約が成立
したものと解される。
として、内定取消は無効とされた。
試用期間中は、予告なく即日解雇
2012.04.25
解雇が有効であるためには、客観的・合理的な理由、社会通念上の相当性と法律上の解雇制限に不該当であることの他に就業規則に解雇に関する定めがあり、その定めに該当するものであること、就業規則に定める手続きに添ったものであること、そして労基法の解雇予告手続きに添った履行であることが必要です。
解雇を行うには、①少なくとも30日前には予告をする。②30日前に予告をしない場合は30日分以上の平均賃金を支払わねばならない。となっています。このほかに例えば15日前に予告して、15日分の平均賃金を支払うという折衷案的なやり方もありです。
ただし、やむを得ない事由で事業の継続が不可能になった場合、働く者の責に帰すべき事由で解雇する場合は解雇予告手当の支払いは不要ですが、そのためには労働基準監督署長の解雇予告除外認定が必要になります。
最近では、この解雇予告除外認定が認定されたという話はほとんど聞きません。それだけ働く者の保護が強化されているのかも知れません。この事例では、会社に大きな損害を与えたとのことですが、そうであっても解雇予告除外認定がない限り、予告手当の支払いは必要になります。
チェックポイント
□ 就業規則に普通解雇に関する定めがあるか
□ 就業規則に懲戒処分の規定があり、懲戒解雇に該当する事由が可能な限り数多く列挙されているか
□ 就業規則に定める手続きに瑕疵はないか
□ 法律上の解雇禁止に不該当であるか
□ 30日前の予告は守られているか
□ 社会通念上相当と判断できるか
ここにも注意
解雇予告手当は税法上は、退職金の扱いになりますので、優遇税制の適用は受けられます。勤続1年につき40万円の控除がありますので、相当給与が高く、勤続年数の短い人でない限り所得税はかからないです。
試用期間中は、予告なく即日解雇できるか
2012.04.25
試用期間中は、予告なく即日解雇できるか?
試用期間中の社員が会社に大きな損害を与えるミスをしました。即日解雇したいのですが問題ありませんか。
A 試用期間中でも即日解雇するためには、解雇予告手当の支払いが必要です。ただし、入社14日以内の場合はこの限りではありません。
試用期間中の解雇といっても普通解雇の問題と大きく変わるところはありません。解雇は客観的・合理的な理由が存在し、社会通念上相当として是認されうる場合でなければなりませんが、判例は、試用期間中の解雇は普通解雇に比べ広い範囲での解雇の自由が認められてしかるべし、としています。
法律上解雇が制限されているのは、①労組法による不当労働行為となる解雇は禁止、②業務災害による休業中、産前産後休業中及びその後30日間の解雇禁止、③国籍、信条等を理由とする解雇の禁止、④監督機関等に対する申告等を理由とする解雇の禁止、⑤性別を理由とする解雇の禁止、等々いくつかあります。
解雇が有効であるためには、前記の客観的・合理的な理由、社会通念上の相当性と法律上の解雇制限に不該当であることの他に就業規則に解雇に関する定めがあり、その定めに該当するものであること、就業規則に定める手続きに添ったものであること、そして労基法の解雇予告手続きに添った履行であることが必要です。
職場意識改善助成金の受付中です
2012.04.24
皆さま
おはようございます
大阪就業規則&助成金センターの久保社労士法人 久保貴美です。
ゴールデンウイーク前の忙しい週が始まります!
~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~
今朝は、ゴールデンウイーク前だからこそ
ぜひ、ぜひ、お伝えしたい助成金
【職場意識改善助成金】(200万円)のご案内です。
中小企業では、労働時間管理がおろそかになりがちです。
例えば
◆シフト勤務は、会社が設定すればいいものの
それぞれの従業員さんたちの都合を聞いてつくる・・・とか
◆遅刻や、体調不良で病院へ行く社員たちに
給与カットなどしない・・・・とか
◆カレンダーを見ながら、
ゴールデンウイークや夏休み、年末年始はできるだけ休みをとる・・・とか
◆保育所に送り迎えの従業員の就業時間をかえている・・・とか
社長、経営者は、少しでも働きやすいようにと
できるだけの配慮はしているのに
いざ 退職! となると
「有給休暇は、すべて使い切ってから退職します!」
「使い切れなかった有休は、買い上げるべき!」とか
びっくりして、目が テンになるようなことを
チャンチャンと言ってくる従業員さんが増えましたね~
まあ、「労働者として当然の権利でしょ」と
言われれば、そのとおりでございます。。。。
だったら、もう、計画的に使っていただきましょ。
皆さんと、従業員さんと一緒に考え
少しずつ改善して、助成金いただきましょ!
改善例としては、以下のようなものがあります。
★ 職場意識改善委員会の設置
(1年目 2か月に一度 ⇒ 2年目 毎月実施)
★ ノー残業デーを実施する
(1年目 2か月に一度 ⇒ 2年目 毎月実施)
★ 計画有休の実施
(1年目 夏季休暇に計画 ⇒ 2年目 夏季休暇と年末年始に計画)
★ 変形労働時間制の導入
★ 働きやすい職場環境 ⇒ 保育所・学童・介護などへの配慮
★ ミニ休(所定休日に有休をひっつけてとる制度)の導入 などです。
なお、この助成金は、毎年予算配分があり
予定額に達すると見込まれる計画が申請されれば終了です。
でも、とっっっつつても、導入しやすい
また、とっっっつつても、達成しやすい
そしてとっっっつつても、いただきやすい助成金です。
私が全面的に計画、認定、導入、申請までさせていただきます。
とにかく、やってみようと思われる方は 私に連絡ください。
kubokimi@sr-kubo.jp または (090)5668-0616です。
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健康診断の要治療とチェックポイント
2012.04.23
チェックリスト
□ 二次健診拒否を懲戒処分の対象にするかを慎重に検討する。
□ 有所見者リストを詳細にチェックし、時系列的に見る。
□ 有所見者に二次健診の通知をしているか。(ほったらかしになっていないか)
□ 二次健診の受診期限を定めているか
□ 二次健診の結果報告を求めているか
ここにも注意
① 健康であるという証明のない限り、労務提供の受領は拒否することも視野に入れておく。
② 本人の一次健診の結果が労災保険の二次健康診断等給付に該当しないか調査する。
健康診断の要治療と労働判例
2012.04.19
判例 京和タクシー事件 S57.10.07
会社には、従業員の健康を保持し、その健康に異常の疑いがある場合には、早期にその状態を確認して就労可能性の有無・程度を見極め、異常が発見されたときは、医師の指示に従って、就労を禁止するか又は適当な軽作業に就かせ、もって健康状態の悪化することがないよう注意する義務があった。会社はかかる注意を怠った。として損害賠償の請求を認容した。
一次健康診断の結果、異常所見があり、さらに精密検査のためニ次健診が必要になることがありますが、会社はこの二次健診の実施を義務付けられているわけではありません。
従って、二次健診拒否で懲戒処分の対象とすることはかなり難しいものと言えるでしょう。しかし、二次健診を受診しなければならない疾病の内容、程度等を勘案して二次健診指示が必要とされる合理的な理由があり、かつ、受診内容も相当と認められる場合には、受診命令は可能であり、それに基づく懲戒処分も有効とする判例があります。
判例 電電公社帯広局事件 S61.03.13
就業規則及び健康管理規程上、労働者には使用者の指示に従って精密検査を受診することにより、その健康回復に努める義務があった。として、精密検査の受診を命ずる業務命令を有効とし、当該命令を拒否する労働者の行為は懲戒事由に当たると判断しています。
設問の場合は、要治療と診断されても働こうとしているわけですから、本人は自ら二次健診を受診し、自分は健康で働くのには問題はないとの証明をさせるべきです。また、会社は安全配慮義務遵守の観点から、受診にかかる時間を確保するとかの配慮を積極的に行うことが求められます。
トライアル雇用の変更点
2012.04.19
障害者雇用の助成金
2012.04.18
おはようございます
今日は、質問コーナーに続き、
障害者の方向けの助成金についてご紹介します。
障害者雇用納付金制度もどんどん、企業規模が狭められてくる一方、
障害者の方を雇い入れたのだから、何か助成金があるでしょ!みたいなお問い合わせも多いです。
とはいえ、
そうそう、ハローワーク紹介で就職されることが少ない状況です。
とはいえ、もともと、自分の会社の社員だった人が障害を持つようになり、会社もよかれと、いろんな配慮をしているのだけれど、改めて雇い入れたわけではないので、「助成金の対象だ!」という意識が低く、また、私たちも、よほど、社長とのコミュニケーションを密にしておかなければ、漏れやすい情報です。
中途障害者となった労働者の雇用継続のための支援制度として、事業主向けに「障害者作業施設設置等助成金」と「重度中途障害者等職場適応助成金」の2種類の制度を設けています。
○障害者作業施設設置等助成金
中途障害者が職場復帰するに際して、作業を容易にするために配慮された施設・設備の設置、整備、又は賃借を行わなければ、中途障害者の雇用の継続が困難である場合に、設置、整備又は賃借に係る支給対象費用の2/3を助成する制度
○重度中途障害者等職場適応助成金
重度中途障害者の雇用を継続する事業主で、その職場復帰を促進するため職務開発等の計画を作成し、それに基づいて措置を実施する場合に、1人につき月3万円を3年間(重度身体障害者又は精神障害者である短時間労働者は1人につき月2万円を3年間)を助成する
健康診断で要治療の結果が出たら
2012.04.17
健康診断で要治療の結果が出た社員がいます。本人は休みたくないといっているのですが、仕事をさせてもよいのでしょうか。
A 従業員に何らかの異常があることを知りながら、通常どおり仕事をさせたら、安全配慮義務違反に問われます。損害賠償を請求される可能性もあります。
健康診断の実施と結果の通知は必ず行わねばならず、受診しない従業員、受診を拒否する従業員には就業規則に基づく懲戒処分も可能なわけですが、健康診断の結果何らかの異常がある場合は、会社は安全配慮義務の観点から、病院を紹介するとか、再検査に行くよう指示しなければなりません。
これらのことを怠った場合に損害賠償の請求をされたという判例があります。
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久保社会保険労務士法人は、職場意識改善助成金の計画に沿った、残業時間短縮と有休取得を実施しています。
人事労務の問題解決Q&A誌「労務事情」(2012年11月1日号)に、所長 久保太郎の記事が掲載されました。
SR 第31号に、副所長 久保貴美の記事が掲載されました。