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退職する社員から、研修費用や入社祝い金は取り戻せる?
2016.05.16
おはようございます。
初夏を思わせる週末でしたが、お元気でお過ごしでしょうか?
久保社会保険労務士法人 久保貴美です。
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今日は、よくお問い合わせのあるご相談について、ご説明したいと思います。
◆さっさと辞めてしまった社員から『研修費用』を取り戻したい・・・
◆入社祝い金を渡したのに、半年でやめてしまった・・・
こんな場合を見こして「返金するという誓約書」を書かせても良いか?
というご相談があります。
【労基法16条】
「労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額の予定をする契約」を
締結することを禁止しています。
これは、労働者の退職の自由が制約されるのを防ぐものです。
退職をするなら『違約金として支払う』という趣旨の誓約書などは
労働者を身分的に拘束するものであり、労基法違反となります。
社員が「研修」「海外派遣」「資格取得」終了後に短期間で退職するような場合、
就業規則において、返還義務を定めていたり
個別の合意書や誓約書などを作成する場合を見かけることがありますが
これらは、労基法16条所定の違約金の定めや損害賠償額の予定にあたります。
何故なら、雇用契約をしたのに、さっさと会社を退職する場合も
労働契約の不履行のひとつといえますが、それに対し、
『違約金を支払うことを事前に約束していた場合でも、その効力は認めない』
ということになるからです。
このように働く人の退職の自由を守るために、
「違約金の定め及び損害賠償の予定の禁止」というルールが定められており
退職をした場合に例えば研修費用を返還するというような合意も、
その合意が「労働者の退職の自由を奪っている」と評価される場合は
法的には無効ということになります。
では、どのような場合に「労働者の退職の自由を奪っている」と評価されるのか?
裁判例では、例えば研修費用の場合であれば、
? その研修を受けるか否かを労働者が自由に選べたか
? 研修内容の業務との関係性
? 拘束期間の長さや拘束の程度
等を総合的に考慮して判断されることになります。
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会社としては、退職前提で、研修に行かせることなどないわけですが
ふらちな社員さんは、資格をとらせてもらったとしても、退職してしまう。
そんな時に、実際にかかった費用の一部でも、請求したくなる気持ちはわかります。
でも、違約金額を定めたり、損害賠償額を定めるのは絶対にやめてください。
また、研修を受けることについて、会社が強制的に行かせたのではなく
本人の希望により、会社の指示する研修を受講するという「受講申し込み書」を
書いておいてもらうのも、必要だと思います。
研修の内容によっては、助成金を活用し、費用の補助を受けることもできます。
社員さんに「海外派遣」「資格取得」などの研修をすることが多くなりました。
後々のトラブルにならないように実施なさってください。
では、今週もお元気でお過ごしください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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人事労務の問題解決Q&A誌「労務事情」(2012年11月1日号)に、所長 久保太郎の記事が掲載されました。
SR 第31号に、副所長 久保貴美の記事が掲載されました。